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2022年サステナビリティガバナンス・サーベイ報告書
-サステナビリティ・ガバナンスの現状とあるべき姿-

 HRガバナンス・リーダーズ(HRGL)では、高崎経済大学水口剛学長(HRGL顧問)の監修のもと、日本企業におけるサステナビリティ・ガバナンスの現状を明らかにすることを目的とした調査を実施しました。本調査は、ご関心をお寄せいただいた初回(2021年)調査に続き、2回目の実施となりました。
 HRGLでは、本調査の回答結果を中心に、最新のサステナビリティトレンドを踏まえながら分析を行い、この度「2022年サステナビリティガバナンス・サーベイ報告書」を公表いたします。本報告書は、企業がサステナビリティ経営を実現するための「サステナビリティ・ガバナンス」体制の構築に必要不可欠と考える要素を考察し、その姿を明らかにします。

サステナビリティ・ガバナンスの主要な要素
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サステナビリティガバナンス・サーベイ報告書
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2022年サステナビリティガバナンス・サーベイ報告書 構成(目次)
1 はじめに
~ サステナビリティ・ガバナンスを構成する5つの要素 ~
2 サステナビリティガバナンス・サーベイの概要と調査方法
(1) 参加企業の属性
(2) 分析方法
3 サステナビリティガバナンス・サーベイの主要な回答結果
(1) サステナビリティ経営の推進体制
(2) 報酬、指名領域におけるサステナビリティへの取組み
(3) CEOのリーダーシップ
(4) サステナビリティ経営の目指す方向性
(5) ステークホルダーとのエンゲージメント
4 サステナビリティ・ガバナンスの構築に寄与する要因分析
(1) 回答結果のスコアリング基準
(2) 5つの要素別スコアリング結果
(3) サステナビリティ経営の推進要因の追究
a. 報酬領域におけるサステナビリティの進度に関係するCEOのコミットメント
b. スキル・マトリックスとサクセッションプランの連動の追求
c. 人的資本経営の開示状況からみる企業価値向上に向けた動き
d. サステナビリティ経営を加速させる推進体制の充実度
e. CEOによる対外的なメッセージの発信がもたらす影響
f. CEOのリーダーシップの在り方
(4) サステナビリティ・ガバナンス構築の課題にかかる定性分析
5 サステナビリティ・ガバナンスの構築にむけたHRGLの提言
(1) 調査結果まとめ
(2) HRGL提言

報告書内容抜粋(はじめに )
 企業のサステナビリティに関する議論が最近益々活発になっており、サステナビリティを考慮した経営を取り巻く環境は刻一刻と変化している。サステナビリティに関連するテーマの多様化、情報開示枠組の整備が進む中、我々は企業が中長期的な経営の視点で諸課題に対応していくためには「サステナビリティ・ガバナンス」の構築が必要になると考える。ここでは、サステナビリティ経営を取り巻く昨今のトレンドを概観し、サステナビリティ・ガバナンスの重要性について考えたい。

 まず、企業がサステナビリティ経営において取組むべきテーマは年々増加している。たとえば、生物多様性/自然資本に関しては、TNFD(自然資本関連財務情報開示タスクフォース)が自然に関するリスク・機会の管理と開示のためのフレームワークの開発に取り組んでおり、人権については日本政府が「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」を策定したことにもみられるように、企業が責任を果たすべき課題の範囲が拡大している。他にも、人材版伊藤レポートの公表を皮切りに人的資本経営の重要性が広く認識され、経営戦略に紐づく人財戦略を実践するマネジメント体制の構築に取組む企業も現在増えてきている。各々のテーマで専門性が異なり、対象とすべきスコープの見定めも難しいことから、何からどのように取り組んでいけばよいか分からない企業も多いことが予想される。

 また、非財務情報(未実現の将来財務情報)に関する開示の枠組もここ数年で急速に整備されている。国内では、2023年1月31日付で「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正開示府令が公布・施行された。主な変更点は、①サステナビリティ情報の「記載欄」の新設、②人的資本、多様性に関する開示、③コーポレート・ガバナンスの状況等に関する情報開示が義務化されたことである。さらに、世界に目を向けると、IFRS財団の傘下に設置されたISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が非財務情報開示のグローバル・ベースラインを開発中であり、2022年6月にサステナビリティ全般、気候変動の2つの情報開示基準草案を公表し、2024年1月から適用を開始する見込みである。日本国内でもSSBJ(サステナビリティ基準委員会)が遅くとも2024年3月末までに日本基準の公開草案を公表する予定で検討を進めている。

 環境、社会の多岐に亘るテーマへ対応する取組みは健全なガバナンスの上に成り立つことから、企業はガバナンスの観点から経営戦略とサステナビリティの統合に真剣に向き合い、企業価値向上に向けた施策を実行していく必要がある。つまり、HRGLではサステナビリティ経営を進める上で企業にとってより重要となる要素は「サステナビリティ・ガバナンス」の構築であると考える。サステナビリティ・ガバナンスとは、取締役会が策定したサステナビリティ基本方針に基づき、サステナビリティ経営の推進における監督機能を発揮する仕組みである。具体的には、取締役会や取締役会内のサステナビリティ関連委員会で策定されたサステナビリティ経営の基本方針に基づき、パーパスを実現するためのマテリアリティを解決するために、取締役会にて未来の機会とリスクに関するシナリオ分析を行い、CEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)やCSuO(Chief Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者)などの経営陣にサステナビリティ経営の推進に関する権限を大胆に委譲し、経営陣の当該推進活動が基本方針に合致しているのかを、取締役会やサステナビリティ関連委員会で監督する仕組みである。さらに、サステナビリティ関連委員会が指名委員会や報酬委員会といった各種専門委員会との連携等を通じて、サステナビリティ・ガバナンスの実効性を強化することが望ましい。

 しかし、日本企業のサステナビリティ・ガバナンスの現況を包括的に調査した報告がないため、2021年に第1回となる「サステナビリティガバナンス・サーベイ」(以下、本調査という)を実施した。前回のサステナビリティガバナンス・サーベイでは、サステナビリティ・ガバナンスの構築においてCEOのリーダーシップが重要な要素となることが示された。本調査は今年で第2回目となる。調査結果は、参加企業を中心とした日本企業が現在どのような立ち位置にあり、サステナビリティ・ガバナンスの実効性を高めていくためにはどのような取組みが必要となるのかといった、具体的な示唆を与えるものと考える。本調査では、第1回調査の目的と主要な質問項目を踏襲しつつ、人的資本経営等のサステナビリティに関連する新しいテーマへの取組み状況も考察できる質問設計とした。

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お問合せ
・サステナビリティガバナンス・サーベイ報告書に関するお問い合わせ
 sustainability_survey@hrgl.jp

・HRガバナンス・リーダーズの各種サービスに関するお問い合わせ
 hr-con_post@hrgl.jp

 
関連情報
・HRGL代表取締役社長CEO内ヶ﨑による書籍『サステナビリティ・ガバナンス改革』(2021年12月8日発売)
掲載サイト:書籍『サステナビリティ・ガバナンス改革』

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